生きる力になるエッセイ集


何度も読み返したくなる本、エッセイ集に出会いました!
33人の方がそれぞれの人生を綴っている、とても貴重な本です。
ノンフィクション、「すべて実話のエッセイ集」はやはり心に強く突き刺さります。

私はこの本を、時々、読み返して見ています。
本の中にある言葉、生きた声を…再び読み返したいと思う瞬間がありました。
それは、自分自身が人生の大きな壁にぶち当たった時だったり、心が闇でおおわれてどん底にいる時だったり…悩んでいる時、この本の中にある言葉に救われました。

このエッセイ集を通して、他者の人生と真剣に向き合ったとき、自然と自分の人生を重ねて見ていたり、心から共感できる言葉が書かれていたりすると…

私だけじゃないんだ、私もこの人みたいになりたい!という気持ちになり、生きる力が湧いてきます。

そんな…私のおすすめの一冊、是非読んで見てほしい!アンソロジーエッセイ集『それぞれの道~33のドラマ~』をご紹介したいと思います。

エッセイ集『それぞれの道~33のドラマ~』
【書評】生きる力になるエッセイ集

エッセイ集「それぞれの道~33のドラマ~」

「これらはすべて実話です。」

アンソロジーエッセイ集『それぞれの道~33のドラマ~』を手に取ると、帯文の言葉が目に飛び込んできた。

「どん底や絶望を味わった人はひと味違うし、ささやかな中にもドラマがある。貴重な体験満載。人の生き方がのぞける切実なエッセイ集」とある。

どんなドラマがあるのだろうか…私は興味を掻き立てられた。

読み進めると…そこには壮絶な人生、挫折から這い上がるドラマが綴られていた。

33人のドラマは想像を超える内容である。「女子プロレスラー、看護師、アイドル、俳優、声優、詩人…」様々な人がありのままを綴るエッセイはとても刺激的だ。それぞれの個性が表れていて、執筆者の人柄がみえてくる。詩を交えたエッセイや、インタビュー形式で綴られたものもあり、対談しているような気分も味わえる。

生きている意味が分からなくなった時…感情をなくす程どん底にいる時…人は何を思い、どうやって生きるのだろうか。試練は乗り越えられるからやって来ると言うが、それは本当なのだろうか。私の中で色んな思いが駆け巡る。
私は自分の人生を振り返りながら、それぞれのドラマを見つめた。

・女子プロレスラーの旧姓・広田さくらさんは、お笑いを取り入れた個性派レスラー。「自他共に認める問題児」ならではの出来事、挫折から這い上がる強さがとても格好いい。

・神月ROIさんは、親からの虐待、壮絶な人生を記している。残酷な現実を生き抜く精神力、苦難と向き合う心の強さは計り知れない。

・青柳宇井郎さんは、ホームレス体験者である。「人生、下降すれば上昇もする。いかにその波に乗って生きていくかが生き抜く原動力なのだ」という言葉が胸に響いた。

・羽角彩さんは、自分をしっかりと見つめ前進する、努力家だと思った。東日本大震災で被災されるが、家族のサポートもあり声優になる夢を叶えた。

・足立進さんは、躁状態とうつ状態を繰り返す病気「双極性感情障害」と闘いながら生きている。躁状態の苛立ちは家族、仕事にも影響を及ぼし、うつ状態は自殺未遂をするまでの苦しみだと伝えている。

・井上摩耶さんは、破壊的カルトに洗脳された体験を記している。私達に「警戒心を持ってもらいたい」と呼びかけている。

・芸能生活三十年のすずきじゅんさんは、「イジメからの脱出!」から始まり、数々の大逆転劇を語る。「人は誰でもチャンスのリズムがあり、それに気づくかどうか」だと、成功の秘訣を教えてくれる。

・星野博さんは、交通事故で「十日間の意識不明から生還」する。笑うことの大切さ、当たり前の事が当たり前ではないと気付かせてくれる。

編者 秋田宗好,佐相憲一 出版社 コールサック社

・歌手のみゅうさんは、高校生の時に母親を亡くした。「悲しみを消すために、心がぜんぶのブレーカーを落としたみたい」と心情を表現する。悲しみを乗り越えて生きる姿に涙が溢れた。

・こまつかんさんは、詩人で訪問看護師である。「生きていくということは立ち戻ることができない事象を背負い続けることだと思います」という言葉が印象的で強く心に残った。

・渡部真希さんは、小学六年生の時に交通事故で父親を亡くした。悲しみを乗り越え「父から授かったこの人生を悔いのないように生きようと思います」と締めくくる。

・井上由香さんは、病院での看護師の経験を生かし、現在は訪問看護ステーションに勤務している。利用者様に寄り添い、ご家族の思いを大切にする看護は本当に素晴らしいと思った。

・花咲夢子さんは、重度の知的障がい者の兄をもつ。壮絶な日常は言葉にできない程の苦しみだ。同じような環境で育つ人へ届き、笑顔で向き合える日が訪れますように…。

・memuさんは、「人生の多くの経験や感情、また心の奥深くに抱く真意を知って、そこに〔共感する〕という事が心の大きな助けや力となる」と語る。

・香取あやなさんは、学生時代にオーストラリアでホームステイ生活を体験し、価値観をかえたエピソードを語る。「日本文化という固定観念の中にあるレール」が可能性を狭めていることや、〔自分の軸を持つこと〕人に媚びない生き方を見習いたい。

・登り山泰至さんは、詩の素晴らしさを伝えている。世間では詩人のイメージが根が暗く社交性がないという感想を持たれる事がある。「そういう偏見を排除したい」「詩の世界の活性化を目指したい」という思いに深く共感した。

エッセイ集「それぞれの道~33のドラマ~」

それぞれの生き方が惜しみなく書かれた本書は、とても貴重な本だと思う。執筆者一人が6ページずつ文章を綴っているが、ページにおさまりきれない思いやエピソードもあったのではないだろうか。
本書を読み終えると、それぞれの人生、続いていく次のドラマがみたいという気持ちになった。

「こんな人生があったんだ。世の中にはこんな人がいる」と…ほんの少しでも何かを感じることが出来たら、人は、「生きている。」と実感できると思う。

その感情を繋いで…私たちは生きているのかもしれない。

33人の生きた声。自らの人生、生き方を記すことは、とても勇気がいることだと思う。本書を手にして私は、執筆者の深い愛を感じた。

(編者の佐相憲一さんの解説より)本書の核心をついている言葉を見つけた。
「本当に共感する時、人は、他者の書いたものを自らの生きる力にすることができます。」

「他者の書いたもの」…他者の人生の中に喜怒哀楽をみた時、光と闇、絶望の世界から微かにみえた希望の光…それらを本書から感じ取った時、私たちは自分の人生を振り返り見つめ直したり、本当の自分、本当の幸せに向かって、再び歩み出す力に変えることが出来るだろう。

心に響くメッセージが、全てのエッセイの中にある。その言葉が生きるヒントとなり、力となり、私たちを支えてくれるだろう。

ふとした時、生きることに疲れた時…『それぞれの道~33のドラマ~』をまた、読み返してみたいと思う。

本書はどんなときも、私たちの人生、背中をそっと押してくれるような…そんな本だと私は感じている。

最後に…この言葉を。

(編者の秋田宗好さんの序文より)

「この本からあなたへ、そしてまた違う誰かへと繋がっていくことを祈って…」


編者 秋田宗好,佐相憲一 出版社 コールサック社