じっくり読みたくなる「詩集」


この詩集を初めて手にした時、私は「詩集」というものを読んだことがない初心者でした。そんな私が今、詩や文章を書いて…自分の世界を見つめるのことが出来ているのは奇跡だと思っています。

自分が日記に何となく書いていたもの、書き殴るようにして吐き出していた感情、そのすべての言葉を…「独自の世界」として大事にしようと思えたのは、他の人が書いた【詩】が存在したからです。

詩は、不思議な魅力があります。

詩人の独自の世界を丸々すべてキャッチ出来なくても、文字から伝わる波動で共感できたり、感性で読み解くような…そんな感覚で私は詩を読んでいます。頭で理解して感動する前に、文字をみた瞬間に涙の方が先に出てくる…そんな詩にも出会えました。

私みたいに「詩集」を読んだことがない初心者の方や、文章を読むのが苦手な人にもおすすめの本、「詩集」をご紹介したいと思います。

詩集『SNSの詩の風41』
【書評】~新時代への架け橋~

詩集『SNSの詩の風41』

インターネット利用が当たり前となった現代社会で、SNSに心の声を つぶやく。多くの人々が電子世界で今も、心の叫びを吐き出している。SNSに書く文字や日記に綴る詩の心…その全てが現代に生きる人々の切実な声だと私は感じている。

詩集『SNSの詩の風41』には「10代から60代まで、新時代の詩人たちの生きた言葉」が収録されている。本書を手に取ると私は、詩人たちの世界に引き込まれていった。

41人の詩作品は、繊細な感性から生まれた詩、狂おしい想いを綴ったもの、個性を放ちながら独自の世界を魅せる詩など、詩の世界の魅力が凝縮されている。

ネット世界に広がる詩は、誰もが自由に発信することが出来る。例えば、SNSに詩を投稿するとしよう。その時、その詩を〈友達〉だけに公開するのか、〈全公開〉にするのか、自分だけが見れる日記として〈非公開〉投稿するのかを自由に選ぶことができる。

顔が見えない世界だから書ける文章というのもあるだろう。何らかの理由で社会から離れ暮らす人が、誰かに見て欲しいという思いで発信する詩も…少なくないのではないだろうか。独自の世界を書き留めている人もいるだろう。
そのようなネットに広がる詩が誰かの心に届き、詩の素晴らしさを実感する人が今、増えてきているのではないだろうか。

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本書には執筆者プロフィール、解説も掲載されており、詩人たちの世界をより深く感じることが出来る。
41人の詩篇の中で私が感じた事や、惹かれた詩句を引用させて頂く。

Ⅰ章

ユーカラさん
思いを素直に綴る詩が切なく、意志の強さを感じる。

いるかさん
光景が鮮明な映像となり引き込まれてゆく。独特な表現に衝撃が走った。

游月昭さん
「ネット詩人」より【血のように滴る文字/が薄ら笑い/燃えてみよ/と重力に歪み宙を舞う赤が/枠の底で弾ける】

ルウさん
脳裏に次々と焼き付いていく言葉の詩に…深く感動した。

油谷京子さん
季節を告げる植物と会話をしているような愛に溢れた詩だった。

北原亜稀人さん
【明日の行方不明】という視点がとても新鮮に感じる。

川端真千子さん
心温まり物語に「星狩り」の情景がたいへん美しい。

糸川草一郎さん
美しい言葉の詩に…心情の流れと夕暮れ時の淋しさが伝わってくる。

れいとうみかんさん
ピュアなハート、中学生の狂おしい恋心が綴られているのが心に強烈に残った。

植田潤平さん
独特な世界が低いトーンで響いているような、不思議な感覚を覚えた。

阿部一治さん
痛いほど心に刺さる詩群。

吾事さん
心、精神、感情と向き合う詩が…自分を探す旅へと連れ出してくれる。

Ⅱ章

中道侶陽さん
「足」より【なればこそ生きろ。/己が怒濤を根に降ろせ。】

平井達也さん
まゆちゃんへの優しさが溢れる詩群。

大村浩一さん
「降霊」より【ベトナムの木の暖簾がゆれる/かすかなさざ波が/日の沈んだほうへ流れていく/開け放てよ、そらの息道/張りつけたメモも剥がされそう/耳障りな四発機も通る 夏】

若宮明彦さん
「Braveー勇気の羽根ー」より【心に風が吹いたら/夢のカケラのカケラを/ワンクリックしてみよう/過去の時間は化石のカケラ】

木島章さん
「忘却をめぐるいくつかの断章」より【ほんとうの窓の悲しみは/けっして鏡にはなれないのに/空と、あなたのすべてを/映さずにはいられないから/空にとっても、あなたにとっても/窓は冷たい表面でしかない】

原詩夏至さん
「変な子」より【変な話だ/その子は/今でも/〈街〉に/〈職場〉に/地上のあちこちに/黙って/落書きを/続けている/思うに/〈世界〉という/壊れた自動車の修理は/まだ/当分は終わらないのだ】

亜久津歩さん
「死に花」より【なかったことにするには/みえているものがちがいすぎる/飽きたらころせばいいけど/まるごと終わるかもしれない】

洲史さん
「発信」より【情報を求める源にあるのは/私たちの願い 望み 悲しみであることを忘れるな】

羽島貝さん
「頭上二在ルモノ」より【できたてのチェリーパイで/頬をひっぱたかれるような/甘くて熱い屈辱は/べったりと皮膚にへばりついて/のぞむは、頭上。】

Ⅲ章

佐藤未帆さん
「光」のように輝く詩は…どこか切ない。

上原健太さん
父母への想いを綴る詩。

はにおかゆきこさん
前向きな詩が勇気を与えてくれる。

青柳宇井郎さん
「雫」より【人は/自分のためにも/他人のためにも/生きているのではない/地球 宇宙のために生きているのだ】

すずきじゅんさん
心温まる「ちびぼっこの旅」方言の魅力や自然の厳しさの中で育まれる友情に涙が溢れる。

みゅうさん
「ラルゴ」より【白い太陽は、枝葉の隙間から、モザイクみたいに地面に落ちて、やわらかく揺れていた。】

望戸智恵美さん
日常の中で感じる思いを綴っている。

紫堂閑奈さん
自分を真っ直ぐに見つめる詩が…心を貫通する。

沖野真也さん
羽角彩さん
イラストと共に個性的な詩が並ぶ。

Ⅳ章

星野博さん
与えられる全てのものに感謝する心を教えてくれる。

登り山泰至さん
「硝子の小箱」より【乾いた鈍い音 強いて言えば重量を持った金属の林檎と檸檬がぶつかる音】

末松努さん
「蝶の舞い」より【黒揚羽の軌跡を/意志を消した眼に追わせたら/私はきみを/信じるために疑う】

菊地一葉さん
短い詩が心の奥に響き渡る。

神崎盛隆さん
狂おしく語る詩群がとても印象に残っている。

九十現音さん
現代を象徴するような詩が魅力的。

前塚博之さん
純粋に自分と向き合う詩にとても共感した。

セッキーさん
「孤独の街」より【アスファルトでつくられた/一面的な秩序は/僕の世界の ボーダーライン】

Ⅴ章

井上優さん
「ネット詩人へのソネット」より【詩人の指先は 心をつまびく為にあるのではない/『ペンよ翼を持て!』と囁き 鼓動は灯火となれ】

佐相憲一さん
「贈りもの」より【水平線を見つめていると/太陽に地球の頬がはにかんで/波うつ顔がもう真っ赤だ】

詩集『SNSの詩の風41』
印刷物の詩集は電子書籍とは違う、紙に印字される確かな喜びと実感がある。めくり読む本は、ネット上に広がる個々の詩を…心に深く刻み、記憶に残る作品として更に輝かせていると思う。

本書を通して私は、日本語の美しさや素晴らしさ、詩の力を改めて実感することが出来た。

編者の一人の井上優さんの序文より「紙の詩の世界とネットに溢れる詩の世界の橋渡しをしたいという思いは十年以上前からありました」とある。

詩集『SNSの詩の風41』は、編者の長年の思いから生まれた詩集であり、詩の可能性を無限大に…新時代への架け橋となっている。

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